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第145期マツダ株主総会 [車]

6月24日、今年もマツダ株主総会に行ってきました。会社をずる休みして(汗)

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久しぶりのマツダ本社ビル。

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受付で出席票をもらいます。

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開会前の様子。会場は本社講堂。


今年の総会は先ず、東日本大震災の犠牲者への黙祷から始まりました。

今期は、販売は好調だったものの震災の影響による損失を計上した結果、600億円の赤字となり、無配当となりました。
このことについて株主から経営責任を問う声が相次ぎました。
(注意:発言の順序は時系列ではありません。)


株主「具体的な損失要因は」

尾崎清・副社長「パフォーマンス(収益)は悪化してはいない。AAI(オートアライアンス・インターナショナル、米合弁会社)でのマツダ6(アテンザ)生産からの撤退における特別損失、および繰延税金資産の取り崩しを計上したことが主因。」

※注記:繰延税金資産とは、企業が払いすぎた税金が将来還付されると見込んで、あらかじめ相当額を収益に組み入れる会計処理のことです。マツダは3期連続赤字のため相当する税金を払っておらず、還ってくる税金も無いので、この処理を取り消したということになります。


株主「繰延税金資産の取り崩しについて」

尾崎氏「利益が出ていったものではないので経営安定性には影響ない。」


株主「繰延税金資産567億円を取り崩したと言うことは1400億円の収益が達成できなくなったということでは」

山内孝・会長兼社長「震災直前までは全ての利益項目を達成し、繰り延べ税金資産の取り崩しは考えていなかった。今後は、安定生産の継続、円高に対応するための部品の海外調達、新興国への販売へ注力。」


株主「国内生産の80%を輸出に頼る収益構造が以前からの問題にもかかわらず何も手を打っていない」

尾崎氏「他社と比べて海外生産拠点が少ない。日本での競争力を高めることが先決。新商品については20%を超えるコスト改善にめどが付いている。為替対策として海外調達の拡大、国内取引先とも外貨建て取引を行う。メキシコ、ロシアでの生産もその一環。ASEANへの進出強化によりタイ、インドネシア、マレーシアで前年比2倍の成長を達成している。これらは以前より活動していたが結果を発表できるまでに時間がかかった。」


株主「他社は震災の影響の中でも配当を出している」

尾崎氏「ご理解を賜りたい。」


また、北米からのマツダ6の生産撤退やメキシコやロシアでの生産に対する質問がありました。


株主「北米を撤退してメキシコ生産へ移行するのは何故か」

尾崎氏「マツダ6を国内生産に移管するもので北米を完全撤退するものではない。今後についてはフォードと検討中。リーマンショック後(欧米での)売れ行きが落ちている。新興国での需要と将来の輸出を踏まえ考慮したもの。」


株主「ロシアは政治的に進出先として不適当では」

尾崎氏「マツダはロシアでブランド力がある。またロシアは資源国であり経済は安定している。現地生産については他社も進出計画を持っている。今は詳細を発表できる段階でない。」


株主「フォードとの提携継続にメリットがないのでは」

山内氏「フォードは第二位の大株主であり30年来の親密な関係を維持している。また米、中、タイで共同生産している。タイでは共同開発した新型トラックを投入した。エンジン、プラットホーム(車台)のシェア(共通化)もある。」


株主「マツダの強みは何か」

山内氏「強みは技術力と販売力。技術面ではロータリーエンジンを開発し、日本車で初めてル・マン24時間レースで優勝し、そしてスカイアクティブ技術を開発した。販売面ではリーマンショックで全世界の需要が3割落ちた時、販売店の努力によりほとんどの地域でシェアの維持、アップを達成した。」


株主「会社、株主、顧客、社会に対して役員はどのように考えているか」

原田祐司・CSR担当役員「世界140カ国以上でビジネスしている。世界中のステークホルダー(利害関係者)にきちんと我々の考えを伝えることが重要と意識している。」


昨年起こった元従業員による工場内での車両暴走殺傷事件への対応や裁判になった過労自殺者への対応について質問がありました。


株主「昨年工場内で起こった殺傷事件で工場の警備や安全体制に不備が指摘された。その後会社は被害者にどのような補償をしたのか、またどのような改善をしたのか」

黒沢幸治・人事担当役員「6月22日に慰霊祭を催した。事件後、構内への大型標識の設置、警備用車両の配置、進入路・退出路の分離、機械式ゲートの導入、ショールームの警備強化、ガードレールや歩行者通行帯の整備、監視カメラ増設などハード面の強化、従業員の安全教育の実施をおこなった。直接被害者には労災とは別に会社としての金銭的補償、目撃者など間接被害者にはメンタル面のケアをおこなった。」


株主「自殺直前の労働は心身的にも量的にも過剰で自殺は業務に起因すると裁判所が指摘。広島労働基準監督署も労災認定した」

黒沢氏「本件が係争に発展したことは非常に遺憾。判決を尊重し控訴を見送った。従業員が精神的に安定して生活できるよう時間外労働の適正管理とメンタルヘルスのケアを継続しておこなっていく」


株主「震災で国が休業手当の一部などを助成する雇用調整助成金の受給を、マツダは申請したが、他社は申請していない。リーマンショック時にも申請をおこなっている。これらは全て税金から出ている。役員は(受給が)恥ずかしくないのか」

黒沢氏「法の定める要件に適合するとの観点から請求している」

※注記:雇用調整助成金制度は元来中小企業の受給を想定した制度ですので、法的に問題ないとは言え1部上場企業が頻繁に受給するのはどうなのか、株主さんの言い分も分かる気がします。


今年の目玉であるスカイアクティブ技術についての質問がありました。


株主「スカイアクティブエンジンを搭載した新型デミオの予約状況はどうなっているか」

稲本信秀・国内営業担当役員「予約状況は6月30日の正式発表に向けて、現在各販売店からの予約を集計している。販売店および顧客からの反応は好評と聞いている。」


株主「3年前に発表されたi-stop(アイストップ)は革新的だったが、すぐに他社が類似品を出してそちらの方が売れている」

稲本氏「i-stopはアクセラの3割、ビアンテの9割、プレマシーの7割に装着されている。顧客から高く評価されており、今後もマツダ技術の特徴として活用していく。」

※注記:i-stopはエンジン内部のピストンの位置を制御して、わずか0.3秒で再始動できる技術で、他社のセルモータで始動する方式とは異なる技術ですが、一般顧客には差異がわかりにくいと言えます。



そして今後が気になるハイブリッド技術についての質問も。


株主「ハイブリッド車の開発はどうなっているか。開発費は潤沢にかけているのか」

金澤啓隆・開発担当役員「ベースとなるエンジン技術をきちっとした上で電気デバイスを積み上げる。i-stopがそのスタート。回生ブレーキ、ハイブリッド、電気自動車と展開していく。電気自動車は来年にリース販売の予定。ハイブリッドは開発中。開発費は使える範囲内でやれることをやっている。開発費がないからやらないという訳ではない。」


ここで名物株主T氏登場。
ツッコミどころが鋭いところはさすがです。


株主「600億の大赤字、無配。これは経営責任。山内氏は社長の実績が2年しかないのに会長職を兼任しているのは荷が重いのではないか」

山内氏「構造的課題があり、これを解決するには多少の時間が必要だが着実に改善に向かっている。円高への対応と新興国市場への軸足を向けて着実に前進している。」

そして、山内氏の会長職の兼任について、

山内氏「確かに海外出張などでスケジュールが空いてない状態が続いているが、この時期に社長職と会長職を分けると役員報酬が増えるので…」(場内爆笑)

※注記:もちろん山内氏は冗談で言っています。


株主「記者会見によく出てるけどマスコミに出るのが好きなんですか」

山内氏「マスコミからは『マスコミ嫌い』と呼ばれてます(場内爆笑)


株主「販売促進費が高いのは何故か。売り上げが当社の3倍ある日産の方が販売促進費が安いのは納得がいかない」

山内氏「会計処理が各社異なっているためではないか。」


株主「マツダ Zoom-Zoom球場のスポンサー費は販売促進費から出しているのか」

尾崎氏「国内販売本部の対応のため正確に答えられない」


株主「マツダ Zoom-Zoom球場の年間予約席の購入状況は」

山内氏「(球場に20室ある)スイートルーム(の内)1室だけです。」


株主「役員ばかりがスイートルームを使わないで、株主を招待したらどうか」

山内氏「社内規定によりマツダ車ユーザーの接待に使うことになっている

※注記:私はマツダ車のユーザーですがスイートルームに招待されたことは無いなあ(笑)


株主「ユーザーと同様に株主も大事にして欲しい」

山内氏「株主の皆様も是非ユーザーになってください(場内爆笑)

こんな感じで今年の株主総会も無事終了。
今年は空前の巨額損失で通常より1時間以上も長い総会となりましたが最後は和やかに終了しました。
マツダの総会は毎年こんな感じだから面白いんです。


総会の後、株主へのサービスとしてマツダミュージアム見学が用意されています。

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ちょうど昼時のため、ロビーに軽食と飲み物が用意されます。
この辺りが一般見学者と違うところ(笑)

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ル・マン24時間レースで優勝したマツダ787B、55号車
…なのですが、6月11日にル・マンでデモ走行して、たった二週間で帰ってこれるのでしょうか。
もしかするとレプリカだったのかも。


見学コースには生産ラインも組み込まれていて、実際に生産しているところを見られます。
ラインには新型デミオが多数流れていました。

デミオと言えばスカイアクティブエンジン搭載車の売れ行きがきになるところ。
スカイアクティブエンジン搭載車はアルミホイールとリアスポイラーが装着されているので簡単に区別できるのですが、流れているのは普通のタイプばかりで肝心のスカイアクティブエンジン搭載車らしき車は数台しかありませんでした。

本当に売れているのだろうか…

タグ:MAZDA
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たど

> きんた さん
> あんぱんち〜 さん

nice! ありがとうございます。
by たど (2011-07-02 21:42) 

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