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「家なき娘」(二宮フサ訳) [書籍・雑誌]

知る人ぞ知る古典児童文学の名作、「En Famille」(仏エクトール・マロ原作)の完訳版です。

「家なき娘」なんて、まるで「家なき子」のパチモンのようなうさん臭い題名ですが、それもそのはずで、ふたつの物語は同じ作者によって書かれています。ただしこの邦題は原題とは関係が無く、単に「家なき子」の知名度に便乗しただけに過ぎません。


オールドファンには「家なき娘」の題名よりも アニメ「ペリーヌ物語」の原作と言った方が通りがよいと思います(アニメについてはこの本のあとがきでも触れられています)。

私は不思議と、この「ペリーヌ物語」に縁があります。
最初に観たのは小学生頃で、その時は名作アニメにありがちな「女の子が苦労の末幸せになる、ちょっといい話」ぐらいの感想しかなかったのですが、それからずいぶん経ってから再放送で観たときにはすっかりハマってしまいました(笑)
原作があるとのことだったので、底本となった 岩波版(津田穣訳)を読んでみたのですが、戦前の作品なので旧仮名遣い、旧漢字で書かれていて、すぐに挫折してしまいました(笑)
それからまたずいぶんと月日が流れ、そんな事などすっかり忘れていましたが、ある日テレビで「ペリーヌ物語」の総集編(再編集版)みたいなものをやっていて、再び思い出しました。

さて、この偕成社版は当然ながら現代仮名遣いで読みやすく、ペン画の挿絵(当時の原作本からの転載だそうです)もあり、脚注も詳しく、訳者が実際に物語の舞台となったフランス・ピカデリー地方を訪ねた紀行文まで掲載するなど豪華な内容です。古典文学というものは、つい時代小説のように読んでしまいがちなのですが、書かれた当時の世相や社会情勢が強く反映されており、これらの情報は物語の時代背景を把握するために非常に役に立ちます。大変気の利いたサービスだと思います。

まさに至れり尽くせりのこの本の最大の欠点は物語中最大のサプライズ(つまりオチ)を表紙カバーの折り返しに明記してしまっているところでしょう。そんなところまで至れり尽くせりかよ!
偕成社、バカじゃないのか?!(笑)

「ペリーヌ物語」(家なき娘)はとても気に入ってる作品なので、機会があればまた何らか紹介したいと思います。



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